医師会には全国単位の日本医師会・県医師会・および郡市の医師会という3つの単位がある。医師会に入会すると、自動的にすべての医師会会員となる。私は現在、地元医師会の理事である。理事は全部で14人。今年副会長となったが、長年続けた会計をそのまま担当している。日本では、全国にある郡市医師会がそれぞれ輪番制をひいて休日診療を担当してきた。
私の属する郡は2つの町からなり、以前は20件近くの診療所や病院が交代で、休日祝日の診療を行ってきた。しかしながら、ここ数年来、閉院などで休日診療を中止する医療機関が相次いでいる。当初は1年あたり3-4回程度だったが、担当する医療機関が減るにつれて回数が急に増え、今年は休日診療の回数が年6回となった。
外来診療も、コロナ感染症以後は複雑で手間がかかるようになった。当院もそれまでは発熱患者でも普通に診察室に呼び込んで診察をしていたが、コロナ禍以降は、発熱の患者さんについては基本的に車の中で待機してもらい、防護服に身を固めた看護師が出向いて車の窓越しに検査をするようになった。
診療報酬制度の頻繁な変更、毎年の薬価の変更、ジェネリック品が品薄で入ってこない等、とにかく手間がかかるようになった。マイナカードもかえって煩雑なことがある。初診の患者さんがマイナカードのみ所持し保険証がなかった。たまたまカードの読み取り装置が使えず、本人確認ができなかったため、患者さんは怒って帰ってしまった。
ここ数年の間に、閉院する医療機関は増えるだろう。そうなれば残った医療機関の休日診療回数はさらに増える。もし職員が疲労困憊して退職してしまえば、診療ができなくなる可能性が高い。最近は募集しても看護師さんは来ない。 職員を過重労働から守るには、誰かが声をあげる必要がある。当院も例外ではない。そんな思いが次第に募っていた。
先日、地元医師会開催の理事会で、休日診療を従来の午前9時から午後5時までのフルタイムではなく、午前中のみに短縮してほしいと強硬に主張した。休日診療割り振りを担う役場の担当者がたまたま同席されていたが、県からの指導なのでよろしくお願いしますとしか言えないという返事だった。普段はおとなしい人間が急に強硬な発言をしたため、他の先生方は驚いたようで静になった。
この理事会の数日後に当院が休日診療の当番だった。9月下旬ながら、インフルエンザ・コロナ感染症がすでに広がっていた。9時の診療開始前からひっきりなしに電話がなり、その対応・受付業務・コロナやインフルエンザの検査などで職員は走り回った。当院はまだ少ない方だが、中には1日100人を超える患者があり、夜遅くまで診療を延長せざるを得ない医療機関もある。昼食時間を除き、9時から5時まで休む暇はなかった。時間切れで断った方も数名あった。
疲労感・充実感? すっかり疲れてしまいご供養をしていたが、フッと頭に浮かんだのは・・・・。
もし休日診療が午前中だけになったら、時間切れで来院できない患者さんはどうなるのか。救急医療を担う病院等が減っていく中、人手不足・経営難に苦しみながらも懸命に従事する医療機関は、最後の砦とも言える存在なのではないか。褒められることもない。休日診療は当たり前と言う利用者がいるかもしれない。けれども大きな目で見れば、社会を支えている大切な存在だ。それは医療機関だけではない。世の中には、目立たない存在ながらも一生懸命に取り組んで、社会を支えている方々がたくさんいる。
そう考えると、休日診療を半日に短縮してほしいと言いづらくなった。

Dr. Sumi
