佼成会的考え方?

私の属する地元医師会は居宅介護支援事業所を経営している。3人のケアマネージャーが介護認定手続きやケアプランの作成などに忙しく働いており、医師会はその運営に関わる。私は医師会の会計をしており、複雑な経過を経た後、事業所職員の給料支払いや事業所宛の書類をすべて処理するようになり、仕事が一気に増えた。

事業所の主任であるO氏(女性)は、ケアプラン作成など本来の業務に加えて、管理者的な立場で仕事をしたり、地元役場の要請に応じて、地域医療介護連携推進事業の中心的な役割を果たしている。しかも時間外労働はしないということで(実際には自宅に持ち帰って仕事をするのだが)、超多忙なスケジュールで動く。人件費がかかるとの理由で、医師会は事務員を雇っていない。彼女は事務所の書類をたびたび当院に届けてくれ、給料明細も取りにくる。診察室に出入りするときはパタパタと小さな足音を立てる小走りで、用事が済めばスッといなくなる。

最近、それまで事務所として借りていたアパート1、2階の2階部分を解約して1階のみを借りることになり、賃貸契約を更新することになった。彼女が賃貸契約の更新に必要な書類の名前を書いたお知らせと医師会の法人カードを持ってきた。お知らせを見ると、契約に際しては法人の印鑑証明や医師会の履歴照明書が必要との記載があり、書類を入手するためには法務局に行く必要があることがわかった。

私がふと、「法務局には誰が行ってもいいんだよね」というと、彼女は即座に、「私は行けません。忙しいんです。そんな時間はありません!」と強い口調で答えた。

私はそれを聞いて一瞬違和感を覚えた。少し経って、これは自分の姿ではないかと感じたのである。多忙多用で周りを見るゆとりがない。周囲の声に耳を傾けたり人の話を受け入れることがない。新たな用事ができると、「うわー、また仕事が増えたかあ!」と感じてしまう。「忙」とは「心を亡くす」との字のごとく、心の余裕を失っているのではないかという気がした。

けれども、よく考えてみると、自分がしているのは人助けとも言える。無茶苦茶に忙しい思いをしているのだが、振り返ってみると順調な経過を辿ってきている。山のような用事のおかげで仕事の処理能力は格段に向上した。人間関係も広がってきて、多くの方々から信頼してもらえるようになった。

「悪いようにはしないから私に任せなさい」という仏様の声が聞こえるような気がした。すべてのことは仏さまにお任せするというような、ゆったりした気持ちを持つべきではないか。仏さまがO氏の姿を見せて自分に語りかけてくれている、そんな気がしたのである。家内に言わせれば、「完璧に佼成会的な考え方」なのかもしれない。

Dr.Sumi