眼底出血は多くの場合、網膜出血を指す。最も多い原因は糖尿病性網膜症であり、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性などの血管系疾患が続く。
網膜出血の主な原因
・外傷
・血管(網膜動静脈)疾患
・自己免疫疾患
以下①〜④は、上記の原因のうち高血圧が関連する血管疾患についての概要。
①糖尿病性網膜症について
慢性的な高血糖が続くと網膜症は複雑なメカニズムで次のように進行する
・初期-毛細血管の微小な膨らみ(毛細血管瘤)ができ、壁が弱くなり液が漏れやすくなる。
・中期(非増殖期) - 毛細血管が閉塞し点状、斑状の出血ができ脂質が漏れる。
・末期(増殖期)- 新生血管が生じ硝子体出血や網膜剥離をきたす。
重症化すれば視野障害、視力低下をきたすが、非増殖期であっても黄斑浮腫が起きると視力が落ちる。
目の症状
・視界がぼやける、ゆがんで見える
・色覚の異常- カラーの色が鮮明に見えない
・夜盲症(やもうしょう)暗い場所や夕方以降に視力が著しく低下
・飛蚊症(ひぶんしょう)視界に虫、糸くず、ほこりのような影が浮いて見える現象
・暗点- 視界の一部が暗い、または欠損する
・視野狭窄
・視力低下
リスク因子
・コントロール困難な糖尿病
・高血圧
・高コレステロール血症
・虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)
・慢性腎臓病、腎不全
網膜症予防にはヘモグロビンA1c(血糖のおよそ3か月平均値を反映)を7%未満に維持することが有効。
②加齢黄斑変性について
加齢(>50歳)により黄斑に老廃物が溜まるのが原因(萎縮型)。ここに出血、滲出液が溜まると(滲出型)より重症になる。多くの場合、病状が進行するまで無症状。
年齢意外のリスク
・糖尿病
・頭部外傷
・感染症
・食事の栄養不足
・高血圧(特に滲出型)
治療
・新生血管の増殖を抑える薬剤を硝子体に注射(滲出型)
・レーザー光凝固術
・生活習慣の改善
③網膜静脈閉塞症について
網膜血管の病気により視力障害をきたす。その原因として網膜静脈閉塞症は糖尿病性網膜症に次いで多い。分枝(中心分から枝分かれした部位)の静脈閉塞が多く、中心部の閉塞は比較的少ない。中心部閉塞は血栓が関与し、分枝閉塞は硬化した動脈の圧迫によることが多い。

森下眼科ホームページより引用改変
リスク因子
・高齢
・高血圧
・糖尿病
・心血管疾患
・タバコ
・肥満
・血栓病
・高脂血症
・開放性緑内障(とくに網膜中心静脈)
・網膜動脈疾患
目の症状
・かすみ目
・飛蚊症
・眼痛、眼の圧迫感
合併症
・嚢胞様黄斑浮腫(のうほうよう おうはんふしゅ)-網膜中心部の浮腫。視力の低下や歪みの主な原因
・新生血管 -眼内に炎症、瘢痕をきたして視力障害をきたす
・硝子体出血
・血管新生緑内障
・網膜剥離
網膜静脈閉塞をきたす例では高血圧、動脈硬化などが背景にあり脳卒中を含めた血管病のリスクが高い。
④網膜動脈閉塞症について
頸動脈由来の塞栓が原因として最も多い。痛みがなく突然に発症する。
・網膜中心動脈閉塞 - 片方の視野全体が暗くなる
・網膜動脈分枝閉塞 - 視野の一部が暗くなる
リスク因子
・高血圧
・高コレステロール血症
・動脈硬化症
・冠動脈疾患(狭心症 心筋梗塞など)
・脳卒中の既往
・>60歳
・男性
本文は主にcleveland clinic および uptodateから引用
目の図解

視野の異常
眼底出血の原因に関わらず、見え方の異常はよく似ている。網膜動脈閉塞では発症の仕方が速く病状も重い



Willoughby Doctors of optometry より引用

Dr Sumi




