自分の特徴(戦型)を考えてみる

私は多趣味とまでは言えないが、小学校高学年からしていることで、今もTVや ユーチューブなどで【将棋観戦】をするのが、好きな事の一つである。

過去には、将棋対局となると聞き手と言われる人が手書きで対局を記録し、将棋会館でそれを基に研究したりする、いわば超アナログ時代もあったそうだ。

だが昨今の将棋はAIの発展によって研究が著しく進み、多くのプロ棋士が対局に取り入れて研究しているほど、AIとは切っては切れない関係になっている。

将棋の棋士と言えば、升田名人 大山名人 中原名人 谷川名人など将棋を知らない人でも一度は名前を聞いたことがあるのではないか。とりわけ私の好きな棋士は【羽生善治さん】である(羽生善治 – Wikipedia)。

羽生さんは初めて永生七冠を獲得した最初の棋士である。各タイトル戦で一定以上勝つと保持する事の出来る、名誉ある7タイトルをすべて獲得し、初の永世七冠を達成した。さらに名誉NHK杯選手権者の称号も保持しており、史上初となる合計8つの永世称号を保持されている。このような実績により、将棋界で初めて国民栄誉賞を受賞した人である。(羽生善治永世七冠どれくらい凄いの?過去の達成者と徹底比較!

「○○世代」という言葉の語源は、実は羽生さんのに世代が優秀な棋士がとりわけ多かった事に由来している。現代でも○○世代と色んな業界で言ったりしている。

私が羽生将棋を好きな理由は、その所作がとても美しく、駒を大切に扱う点にある。また羽生さんは奇想天外な一手を指すことで知られており、将棋界ではその戦い方を【羽生マジック】と呼ぶ。私はその妙手(みょうしゅ)に感服している。

羽生マジックとは、ほとんどの棋士が指さないような一手を指し、対局者を混乱させて次の一手に乱れを生じさせ、逆転に結び付ける棋風(きふう)の事である。

そのあたりは人生観にも似たところがある。目の前にある様々な局面で一手一手を深く読み、一見悪手とも思われる一手を指すのだが、実は最善手であったことがわかる。

将棋界では、羽生さんや藤井さんの一手の幅が大きいと聞く。実はその羽生マジックの一手を導くためにはその数手前からの仕込みがあり、いきなり発動するのではないところが将棋の奥ゆかしく華麗な点、まさしく因縁果報である。人間棋士がAIを超える瞬間もあるくらいだ。

棋士の戦型にはニックネームのような呼称が存在している。谷川名人は高速流、藤井猛さんは藤井システムなどである。棋士=戦型で、ちなみに現時点でトップ棋士の藤井七冠は「角換わり腰掛け銀」の戦型が多く、AIに読み込ませると一番勝ちやすい戦型とのことである。

しかし羽生さんは羽生マジックと言われる事はあっても、○○型と言われる戦型は無い。羽生さんは、そのことに一時期凄く悩んだことがあると言っていた。しかし羽生さんが出した答えは、名人たるもの様々な挑戦者の得意戦型を受けてその土俵に立ち、対局するという姿勢に行き着いたと言う。大一番のタイトル戦でも、あえて相手の得意な戦型に持ち込ませて対局する羽生さんの姿を私は幾度となく見てきた。仮にそうでなければもっと勝ち星が積みあがっていたかもしれないと思える程である。

私たちも日々生活している中で得意な場面や苦手な場面も多々ある。先述した将棋に例えてみると、苦手と思える場面であっても、それをもう少し深く読んでみると実はそうでなかったりすることもある。その過程を鑑みて、開祖様を連想する事がよくある。開祖様は、逆説が来た際には余計にその逆説に立ち向かおうとされていたと著書で拝見する。

逆に自分の得意とする戦法であっても思い通りにはいかない例が多々あることも、私は将棋を通して学ばせて頂いている。実際に将棋棋士でも急な方向転換で型を大きく変える棋士も多い。

最近の羽生さんは将棋界の会長職も兼務されている。若手主流との対局で戦績は全盛期には及ばない事も多いが、今後も羽生マジックで将棋界を盛り上げてもらいたいし、最後まで応援したいと思う。羽生善治さんの名言、【勝利の女神は勇者に微笑む】

                               合掌 椙原